真冬の朝、お客様から「水道管が破裂しているので来てほしい」と電話をいただきます。
いつも決まって、特に冷える日の朝、それは同時多発的に始まります。
なぜ水道管が寒い日の朝に破裂するのでしょうか?
なぜ冬場に水道管が破裂する?
水道管破裂の原因の多くは、水道管内の『水の凍結』です。
水は凍結すると、体積が約9%増加します。その膨張する力はすさまじく、自然界では大きな岩の隙間に溜まった水が凍ったり溶けたりを繰り返すことによって、岩の表面に出来た小さな亀裂が広がっていき、やがて頑丈な岩をも割ってしまいます。
上水道の水道管内は、浄水場から常にポンプで圧力がかけられており、水道水で満たされています。
その水道管内に満たされた水が凍ってしまうと、元々圧力がかけられて水が逃げ場を失っている状態で体積が9%増えるわけですから、水道管の耐えられる膨張率を超えてしまい、水道管が破裂してしまうというわけです。
破裂する水道管は上水道?下水道?
さて、先ほど「上水道は水道管内が水で満たされている」と書きましたが、上水道・下水道はどのような仕組みになっているのでしょうか?
上水道
上水道は浄水場から水が供給され、浄水場に設置された送水ポンプで水に圧力がかけられています。
皆さんが水道の蛇口をひねれば、すぐに水が出てくるのは、各家庭にポンプがあるのではなく、供給元の浄水場からポンプで押されているためです。
そして、すぐに水が出てくるというのもポイントで、蛇口をひねるたびに、浄水場から水を送っていたのでは、水が出てくるまでに時間がかかってしまいます。
そのため、水が出ていない間も蛇口の手前まで水道水で満たされており、蛇口をひねった途端、水道管内に満たされた水が出てくる仕組みになっています。
なので、上水道は凍結すると水の逃げ場が無くなり、水道管が破裂してしまう原因となります。
下水道
下水道には建物から出た汚水や用水路から集まった雨水などが流れます。
上水道と下水道の違いは水が流れる速さです。
- 上水道はすぐ水が出てほしいから早く水を出したい
- 下水道は汚水を処理したいから、ゆっくりと水を流したい
このため、下水道には排水を行うためのポンプはありますが、水に圧力をかけるためのポンプは設置されておらず、水で満たされているわけではありません。
ねずみが上がってくるのも下水管からですよね。
下水道が凍結を原因として破裂するということはあまりなく、下水管が破損する原因の多くは老朽化や地震、植物の根によるものです。
水道管の凍結・破裂を防止するには?
水道管の破裂防止方法1:水を出し続ける
水道管の凍結・破裂防止には水をチョロチョロ出し続けるのが良いと言われています。
水は流れている間は凍結しないと言われているため、水の動きを止めないために少しだけ蛇口をひねり、少量の水をチョロチョロと出し続けます。
たくさん出し続けると水道代が高くなってしまうので、少しだけにしましょう。
最近のガス給湯器には凍結防止機能がある機種もあります
給湯器の中には追い炊きするための配管が通っており、この配管の中にも水が通っています。
冬になると給湯器内の配管も破裂することがあるのですが、最近のガス給湯器には一定温度を下回ると、自動的にポンプが働き、水の凍結を防止してくれる機能が付いたものもあります。
水道管の破裂防止方法2:水道管の水を抜いておく
水道に水が入っていなければ、凍ることはありません。
配管の中の水が凍ると言っても、地中の水道管は凍らず、地表に出ている部分が凍ることがほとんどです。
そのため、水抜栓を使って蛇口手前に溜まった水を抜いておけば、水道管の破裂を防止することができます。
なぜ流れている水は凍結しない?
水を少し出しておくという対策、どうして水が流れていると凍結しないかですが、水は動いている状態で温度を下げていくと、温度は下がるのですが、温度が0度を下回っても凍りません。
これは水が氷に変わる時に、分子が整列して結晶化しなければいけませんが、水が流れていると分子が整列しないため、氷ができにくくなると言われています。
逆に、水を動かさずに極めてゆっくりと温度を下げていくと、-10度以下でも凍らずに液体の状態を保つことがあります。この状態を『過冷却』と言います。
これは氷が出来る仕組みが関係するのですが、ゆっくりと温度を下げていくことで、水全体の温度が均一になります。
水全体の温度が均一に下がることで、氷の元になる氷核(小さな氷の粒)ができず、水は凍るきかっけを失っている状態となります。
水が凍っていく動画を早送りで見ると、水の中で氷が広がっていく様子が見えるのですが、これは水の中に氷核が出来て、氷核を中心に氷が作られている証です。
この過冷却状態の水に衝撃を与えると、衝撃を凍るきっかけにして途端に水が凍り始めます。
まとめ
水で満たされた配管内で水が凍り膨張することで、逃げ場を失った水が配管を破裂させてしまうことがわかりました。
配管の破裂を防止するには以下のような対策が有効です。
- 水を抜く
- 水を流し続ける