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初代ユニットバスルームの誕生

1964年(昭和39年)にホテルニューオータニへ納入したことから始まったユニットバスルームは、日本の住宅へ受け入れられ、高い快適性と環境性能を実現するものとして大きく進化し、水まわりの生活文化に変化をもたらしました。
そして現在、日本の浴室市場におけるユニットバス化率は約95%にまで達しています。

1963年1月

オリンピックを翌年に控えた1月、東京都の要請をうけて急遽建設が始まった国内初の超高層ホテル「ホテルニューオータニ」(17階建て、客室1058室)。
本来なら3年かかるといわれる工期も17ヵ月しかなく、さらにオリンピックに向けた建設ラッシュで人手不足という非常に厳しい状況のなか、設計・施工にあたっていた大成建設株式会社は特に時間のかかる浴室の工期短縮化を求め、新しい設計案をメーカー数社に依頼、そのうちの1社がTOTO(当時の社名は東洋陶器)でした。

1963年7月

7月に開発プロジェクトを発足。
神奈川県の茅ヶ崎工場を中心に膨大な要件の検証を続けた結果、現場での工期短縮化を実現した「セミキュービック方式」を開発しました。
また、軽量化して搬入を容易にするためFRP(繊維強化プラスチック)を浴槽と洗面カウンターに展開。従来は2トン超の浴室の重量を730kg程度まで削減しました。
従来の在来工法では1室当たり3週間~1ヵ月必要な工期をわずか3~5日に短縮することに成功しました。

1963年12月

1044室へのユニットバスルームの正式採用が決定し、1044室の浴室工事を大成建設株式会社、株式会社西原衛生工業所の協力を得て、工場製作から現場設置工事まで含めて約3ヵ月半で完了できました。

2014年、初代ユニットバスルームがホテルニューオータニで発見されました。
1990年頃から大規模な改修工事をしており、客室のユニットバスもすべて新品に交換されているなかで、ニューオータニの社員がオフィスフロア3階のスペースにあるのに気づいたそうです。元々は客室として使われていた場所で、偶然にも改装されずひとつだけ残っていました。
初代ユニットバスルームはTOTOにも残っていなかったそうで貴重なものとなりました。

初代ユニットバスルームの特徴

1.セミキュービック方式の開発による工期短縮化

セミキュービック方式とは、浴槽やトイレなどの器具や給排水管を組み込んだ「腰下フレーム」と「上部壁フレーム」をあらかじめ工場で生産し現場で組み立てる方式。
容易に搬入できるよう上下を分けた構造としました。
プレハブ化(ユニット化)したことにより、在来工法では1室あたり3週間~1ヵ月必要な工期を、1室あたり3日~5日(組立て1日)に短縮することに成功しました。

2.「ステンレス製防水パン」による高い防水性

防水パンというステンレス製の大きな受け皿を考案。
防水パンでユニットバスルームの躯体全体を受け止めるように設置することで、水漏れを防止しました。

3.FRP(繊維強化プラスチック)採用による軽量化

工事用ヘルメットくらいにしか使われていなかったFRP(繊維強化プラスチック)を浴槽に展開し、「トートライトバス」として1958 年より発売していました。
初代ユニットバスルームではこのFRPを浴槽だけでなく、洗面カウンターにも展開し、浴室全体の軽量化を実現しました。
従来は2t超あった浴室の重量を約730kgまで抑えることができました。

4.浴室内側から部材ごとに交換可能な高いメンテナンス性

浴槽・洗面カウンターはFRP、洗面器と便器は陶器、壁はメラミン化粧板、床は在来工法のタイル貼りなど、各所に最適な材料を選択するだけでなく、部材ごとに浴室内側から交換可能な仕様とし、施工後のメンテナンス性にも考慮されていました。
解体時には組み立てた順番を逆にすることで取り外し可能で、部材を破壊することなく容易にユニットバスルームの更新ができる構造となっていました。

介護リフォーム
段差解消・手すり設置で快適な暮らしへ

築40年のマンションで、補助金を活用した介護改修工事を行いました。
ユニットバスの取替の際には洗面床下の古くなった排水管の取替も行い、古くなったマンションでも安心・安全にお住まいいただけるようになりました。

段差

約10cm低くなり転倒防止に

手すり

手すりを新たに4か所に設置

内装

雰囲気がガラリと変わり、こだわりの詰まった空間に

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